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 旧海軍「兵学校運用術教科書・船体保存手入法」のなかから甲板材に関連した事項を抜粋、紹介します。
 読める程度に画質を落としたスキャナ取り込みです。
 歪みは70年前の本なので広げることを避けた結果こうなりました。

 これらの教科書は改定が行なわれるまでの数年間は使い続けられ、現状と違ってしまった事項等は講義中の口述及び
 添付資料等によって随時訂正されていたようです。元々の所持者が加えたと思われるアンダーラインや手書きの書き込み
 でそれらの事項の様子も知ることができると思います。

 旧海軍では水上艦の鋼甲板は亜鉛メッキのまま無塗装だったようです。実際に中国沿岸で海防艦「占守」に乗艦見学した
 英海軍士官の証言でも「鋼甲板は亜鉛メッキのまま無塗装だった」とされています。
 乗員等が頻繁に歩く部分には鋼表面の防錆亜鉛メッキ層を保護するために木製のグレーチングやリノリウムが敷かれて
 いました。
 露天甲板の木やリノリウムも本来、鋼表面(亜鉛メッキ層)保護のための被覆材として貼り付けられていたもので、かならず
 しも甲板下の居住区天井の断熱や吸音のためではなかったようです。副次的に効果はあったでしょうが。
 露天甲板の場合、光明丹(鉛主成分の防錆剤)が多く含まれる塗具 「トロ」 で接着した後、木はボルトナット、リノリウムは
 押え金物で固定しました。
 とくにリノリウム張り付けの場合、塗具による接着が主で押え金物は端部の剥離防止のためのものだったようです。